ビブリオバトルのプレゼン原稿を公開してみる。

10/20の学祭から始まり、先日11/10のビブリオバトルでもぼくの紹介した本がチャンプ本となりました。そこで、プレゼンで使用した原稿を公開したいと思います。

ビブリオバトルとは?
http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%AB


ちなみに次は11/24に秋葉原で行われる最後のバトルに参加してきますので、そこでプレゼンを聞いてくれるという人は見ない方がいいかもしれません。

ちなみに11/24のバトルについて
http://shuto13.bibliobattle.jp

紹介したのは江口宏志さんのない世界です。
http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/486324066X

5分間のプレゼン原稿なので、長いですがよかったらどうぞ。


 “こんにちは、帝京大学4年 野崎竜也と申します。今日は、江口宏志さんの「ない世界」について紹介させていだだきます。はじめにみなさんに質問なんですが、「自分探し」をされたことがある人は正直に挙手お願いします。ありがとうございます。僕も「自分探し」を行って迷子になったことが何度かあります。(笑)次に、「自分なくし」という言葉、これを聞いたことがあるもしくは知っているという人は挙手お願いします。はい、ありがとうございます。「自分なくし」、これが今日の話、そしてこの本のテーマとなります。今日は江口さんがこの本を書いたきっかけ、「自分なくし」とはなにか。江口さんの「自分なくし」の経験。そして僕自身の「自分なくし」の経験。これらを通してこの本の魅力をみなさんに伝えていきます。

 江口宏志さんは、ブックショップUTRECHT(ユトレヒト)の代表を務めていて、アートブックフェアとして「THE TOKYO ART BOOK FAIR」の共同ディレクターを務めている方です。「Amazon」にないアイテムばかりを取りそろえた「nomazon」や、本を音読して楽しむ「読書のフェス」など、新しい形の本との関わり方・楽しみ方を次々に生み出している人だといえます。

 そんな江口さんがある日「ない世界」を発見します。それは無人島で自給自足生活をすることになった、その準備の時のことです。自給自足生活なのだから食べ物は現地で調達するとして、調理器具は持っていくのだろうか?スプーンやフォークは?調味料は?そもそも飲み水はどうするのだろうか?夜はどうやって寝るんだろうか?テントか、それとも現地で木を切って小屋でも建てるのだろうか?そうすると木を切るノコギリはどうしようか……?

 ここで江口さんは気が付きました。無人島に何を持っていくか?よりもむしろ、何を持っていかないか、ということが無人島で何をするのかに直結していると。テントを持っていくと便利な代わりに木を切って家を建てるという楽しみはなくなってしまう。なにかがあることで、なにかを失っている。しかし、何かがあることで何かを失っているということは、裏をかえせば何かをなくせば何かを得ることができるんじゃないだろうか。あるものがないことでどのような生活が生まれてくるのか、ということを自分の体で確かめてみる、当たり前のように身近にあるものや、無意識のうちに行っている行動、染み付いてしまっている考えを一つずつ選び出して自分から取り外してみる。これこそが今日のテーマ「自分なくし」であり、その行動と考えを記録したものがこの本です。

 この本はそんな「自分なくし」を12個に分けて構成されています。たとえば、ケータイのない世界ではケータイのない世界をつくることにまず苦労したり、実は通話の機能をあまり使ってなかったことに気が付いたりします。他にも、お酒のない世界、怒らない世界、行きつけのない世界、飽きない世界、写真のない世界など、全部で12の「ない世界」を実行します。中には毛のない世界なんてものもあります。男としては今後想像したくないですね、毛のない世界なんて(笑)。江口さんはいったいどのように毛のない世界をつくるんでしょうか(笑)これも読んでもらえればわかります。このように様々な「自分なくし」を行いうことで、失ったものの代わりに得るものは何か。気づかされることは何かを探っていくわけです。

 ここで僕自身がこの「自分なくし」を実感した経験を1つ紹介させていただきます。この本は今年9月末に発売されたものなので、さらにその1か月前の8月末のことです。「ダイアログインザダーク」をご存じの方はいらっしゃるでしょうか。完全な暗闇を疑似体験することができる暗闇のソーシャルエンターテイメントなんですが、それに参加してきました。参加者は1回に6〜8人の少人数で、そこにアテンドと呼ばれる視覚障害者が案内役として一人入り、暗闇の中で様々な体験をします。ぼくの時はアテンドを含めて9人でした。本当になにも見えない暗闇です。その中で視力に頼らない・頼れない活動をする。これはまさに視力の「ない世界」です。視力を失うことでぼくらは声を掛け合い助け合うことや、人やものに触れるというコミュニケーションの喜びを知りました。なにかを失うことで何かを得ることができる。そんな体験をここでしていたのです。

 ここまで飛躍した「自分なくし」でなくても、いつも通る道をやめる、行くお店をやめる、口癖をやめる、こうした身近な「自分をなくす」ことで「新たな自分」を得ることへのきっかけにつながるんじゃないのかと、ぼくは思います。そんなぼくはいま、ダイエットも兼ねて満腹のない世界に挑戦中です(笑)。このような気づきをくれる江口さんの「ない世界」の体験談をぜひみなさんにも読んでいただきたいです。ご清聴ありがとうございました。”

11/24ではこれをまた修正してプレゼンするつもりです。
興味があれば、ぜひ会場まで聞きにきてください。